四国肱川 皆農塾

無農薬野菜と有機野菜

野菜の安全性を求める消費者に対して、様々なレッテルを表示して混乱を招いているが、「無農薬野菜」というのは文字のとおり『農薬を使わない野菜のこと』である。農薬を使わず石油から作られる化学肥料を使っていても無農薬野菜に違いないが、化学肥料を使うと害虫の被害が大きくなるので、無農薬野菜の生産者は大抵の場合化学肥料を使わない。

ここで問題は、農薬の定義である。農水省の定める農薬の中にその農薬がなければ農薬とはいわない。たとえば、外国から無名の農薬を持ち込んで使ってもそれは農薬ではないし、家庭にある台所洗剤を薄めて使っても無農薬野菜である。また、農薬を使っているか、使っていないか、外国のように検査機関がないから、生産者の良心を信じるしかないが、アメリカなど諸外国ではオーガニックの表示をすれば、必ず検査の対象となる。

次に「有機野菜」であるが、これは農薬とは関係ない。堆肥を使っているかいないかの問題で、有機野菜だから農薬を使っていないと思うのは早計である。 有機野菜は化学肥料を使っていないという表示で、美味しいということは確かなことである。

皆農塾では、「農薬を使わないこと」と「堆肥を使うこと」をよしとしているが、野菜の苗が小さいときにどうしても使わなければ育たない場合や、残暑が厳しく害虫の発生がなかなか治まらないときには、少しだけ使うこともある。それはその年の気候によるもので、過去には全く使わなくてもよかったが、最近は温暖化傾向で理解しがたい気象条件が増えてきた。

農薬を使わないと、葉が虫食い状態になることもあるし、キャベツの中にミミズがいたりする。都会に住む人はそういう状態を許容できる生活をしていないから、抵抗を感じるのは当然である。農薬を使わなくてもできるだけ虫食い状態を避ける生産を心がける努力を怠ってはならないのはいうまでもないことである。

堆肥を使うということは、農薬を使わない野菜作りの必須条件であるが、堆肥を使うことによって野菜の美味しさは格別に向上する。農薬を使い、堆肥も使えば、虫食いの無い美味しい野菜ができるわけだが、農薬を使う生産者は大量生産を目的としているので、堆肥の使用は極端に少ない。従って、美味しさという点では減点である。

「低農薬野菜」というのもあるが、何を基準にしての低農薬かという問題もあって、他人の10倍の農薬を使っていても低農薬だと主張すれば、低農薬である。しかし、健康を気遣う人は普通の野菜よりは低農薬というレッテルが張られているものの方が良いと考えるので、安心感を満足させるのには効果がある。

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