四国肱川 皆農塾

鶏の絶食健康法

皆農塾の鶏は地面の上で飼い、農場の無農薬野菜を食べさせてたまごを産ませていますが、その他に一週間の絶食を半年に一回ほど行います。その間一ヶ月位はたまごを産まなくなりますが、一定期間の絶食は細胞の若返りに効果があるといわれます。ご存じの通り、たまごは一個の細胞です。たまごにも鶏の個体にも絶食の効果が現れれば、たまごを食べる私たちにも、鶏自身の健康にとってもよいことに違いありません。

鶏のストレス

野生の猿はエイズ・ウイルスを持っていても、人間などに捕らわれて劣悪な環境に置かれなければ発病することは少ないといわれます。高原性鳥インフルエンザも水鳥が持っている病原菌ですが、それが鶏に伝染するのは、鶏が劣悪な環境に置かれているからではないかと思われます。 たくさんのたまごを生産させるために密度の濃い飼い方をすれば、儲かりこそすれリスクの高い経営となります。ヨーロッパでは、日本のようなケージ飼いは許可されないと聞きます。その理由が「鶏の福祉」のためだといいますから、根本的に動物に対する考えが違うようです。

ニューカッスル病

いま最も恐れられている鶏の伝染病は高原性鶏インフルエンザですが、それ以前はニューカッスル病でした。埼玉県で営農している頃、鶏がたくさん死んでいるので見に来てくれという養鶏家の依頼を受けて出かけました。ニューカッスル病でした。そのとき気がついたのですが、たくさんの鶏が死んでいる中、一群だけは元気に飛び回っているのです。よく観察すると、老鶏で二日に一個くらいしかタマゴを産んでいない鶏でした。若い鶏はたくさんたまごを産むので体力の消耗が激しく病気に弱いのですが、老鶏は余りたまごを産まないのでニューカッスル病に打ち勝っているのです。量産の現状と言えます。

ノコクズ発酵飼料

野生の鳥の胃袋を解剖してみると、小枝のような粗繊維がたくさん入っているようです。鳥類が繊維質のものを要求しているということから、中島正氏の提唱により「ノコクズ発酵飼料」が開発されました。これはノコクズに米ぬか、オカラ、酵母菌を加え、攪拌して一週間ほど寝かせると甘い良い香りがして発酵してきます。これを餌の中に数パーセント加えることによって鶏の健康にとっても、卵質においても数段の効用があるようです。 皆農塾では、この他に緑餌はもちろん、トウモロコシ、米ぬか、オカラ、大豆粕、魚粉、カキガラ、炭酸カルシウムなどを餌として使用しています。

草養鶏

学生の頃、人間が食する穀類を鶏の飼料として与えるのは、この地球上に飢餓に苦しむ人がいる現状を考えても好ましくないということから、良質なたんぱく質を有する草だけを与えて鶏にタマゴを産ませることは出来ないかという講義を受けたことがありました。結果的には産ませることはできるが、その必要なだけの草の容量を鶏の胃袋に収められないということでした。その後、甘藷養鶏の研究などもありましたが、現代では大量の鶏を大量な穀物を使って経済的に成果を上げることばかり考え、そのリスクとしての鶏病対策ばかりが進歩してきました。いわゆる薬漬けです。昔は養鶏に夢があったように思います。そして、今後来るであろう日本経済の破綻を考えるとき、いかに安価な飼料によりたまごを産ませられるかという研究が盛んになると思います。安価な飼料というとき手抜きや粗雑品のイメージがありますが、そうではありません。手間暇がかかることで現在は敬遠されていますが、良質なたまごを産ませるための必須条件です。

コクシジューム症

ヒヨコは21日の保温期間を経て産まれてきます。その期間、母鶏は常にくちばしで転卵を繰り返し、片面だけでなく全体に温度が行き渡るようにし、また時々巣から出て寒気にも当てるように気を配ります。生まれて一ヶ月のヒヨコは免疫性がありますが、それ以後はコクシジュームという寄生虫に悩まされます。これに掛かると血便を始め衰弱して死に至ります。このコクシジューム症を防ぐために一ヶ月過ぎたヒヨコを地面から離しバタリーに入れます。ヒヨコも90日を過ぎるとコクシジューム症にかかりにくくなるので、また地面に下します。私たちの鶏が地面から離れるのはこの時だけです。

家畜残酷物語

先日、養豚を生業とする人と話しをしました。現在では技術の進歩によって豚は年2回のお産で28頭の子豚を産むとのことです。 従って豚肉の価格もこれだけ安価に購入できると言うことです。しかしヨーロッパでは豚の年2回のお産は禁止されています。 同じように日本の身動きの取れないようなケージ養鶏も禁止です。その理由は「動物福祉」のためということです。経済優先の日本ではちょっと考えられないことです。

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